6月第1日曜「候補」に

「山の日」国会議連確認

信濃毎日新聞 掲載

平成25年04月19日(金)

スクラップ

 国民の祝日「山の日」制定を目指す超党派の国会議員による議員連盟(衛藤征士郎会長)は18日、都内で役員会を開き、議連としては6月第1日曜日を候補とすることを確認した。山岳団体関係者からは、「山の日」制定運動を盛り上げるため、自治体や環境団体、経済界や学者が加わる全国協議会を新設するとの報告があった。

 役員会には、日本山岳協会など山岳5団体でつくる協議会の関係者も出席。協議会の成川隆顕代表幹事は「広く国民のネットワークをつくりたい」と述べ、全国協議会は現在の協議会を発展的に解消して幅広い分野から参加する組織とする考えを示した。初会合は今秋に開く。議連は「山の日」を6月第1日曜日とする案を全国協議会にも諮り、調整を進めていく方針だ。

 議連の正式なメンバーは現在66人。4月未までに100人を目指し引き続き賛同する議員を募る。役員会では、自民党の小坂憲次氏(参院比例)、吉田博美氏(参院県区)、民主党の羽田雄一郎氏(同)を副会長に、自民党の務台俊介氏(衆院長野2区)を事務局長とするなどの人事案を正式に了承した。


「山の日」制定へ議連発足

県関係10議員参加

「山の日」実現難ルート

信濃毎日新聞 掲載

平成25年04月11日(木)

スクラップ


 「山の日」を制定し国民の祝日にすることを目指す超党派の国会議員による議員連盟が10日、発足した。「山の日」制定をめぐっては県内を含め各地でさまざまな取り組みがある。祝日化には祝日法の改正が必要なため、超党派議連の設立は、将来の法整備に向けた具体的な一歩となりそうだ。

 東京・永田町で開いた設立総会には自民党、民主党、日本維新の会、公明党、みんなの党、共産党、生活の党の7党から議員27人が出席。うち長野県関係議員も10人が加わった。

 日本山岳協会最高顧問で、同議連会長に就いた衛藤征士郎・前衆院副議長(自民党)は「山が森をつくり、土をつくり、海をつくる。『山の日』制定に向けて頑張っていきたい」とあいさつした。

祝日化へ超党派議連

 県も求めている祝日「山の日」制定を目指す超党派国会議員連盟が10日発足し、実現に不可欠な国会での取り組みが始まった。ただ、既に県レベルなどで定めている「山の日」は多数あり、日付の選定はどう進めていくか。議連に加わった国会議員の中にも、これ以上祝日を増やすのは容易ではないとの声があり、制定への道のりは長そうだ。阿部守一知事は県独自の「山の日」を来年度中に定める方針を打ち出している。県内をまずまとめた上で全国統一の「山の日」制定をリードする狙いだが。

「平日減」には異論も  議連会長「日数変えない」

 山の日」を祝日にするには、祝日法を改正して国民の祝日に加える必要がある。これまでの改正法案は与野党を含めた議員立法が多く、議連が発足した意義は大きい。ただ、党派を超えた議員の調整が必要になるため、議連に参加する議員にも「相当の時間がかかる」との見方が強い。

 公益財団法人日本海事広報協会(東京)によると、現在7月第3月曜日の「海の日」をめぐっては、昭和30年代から海事団体が祝日化運動を開始。法改正が実現したのは1995年で、40年近い歳月がかかった。

 内閣府によると、国民の祝日は現在計15日。2003年の調査では、米国は10日、英国は8日、フランスは13日で、日本は既に他と比べて多い。さらに増やすとなると、企業の営業日、行政機関の開庁日、学校の登校日が減ることなどに反発も予想されると、国会議員の中にも異論がある。

 議連の衛藤征士郎会長自身、総会後の取材に「祝日15日の枠は変えない。新しくつくるのは難しいし、増やすことには反対」とし、「(別の

祝日と)同じ日にする方法もあるし、(既存の)祝日を外す方法もある」と話す。

 議連はこの日、自治体が独自に設置している「山の日」に合わせて開かれるイベントに議員が積極的に参加するなど、制定の機運を高める活動をしていく方針を決めた。

 議連の幹事長、丸川珠代・厚生労働政務官(自民党)は、取材に「『山の日』祝日化には観光や環境などより多くの人を巻き込み、運動を広げていくことが重要。長い取り組みが必要だ」。事務局長に就いた務台俊介氏(衆院長野2区)は「課題は多いが、最終目標は祝日化。山登りと同じで、困難だがやりがいはある」と話した。

県も独自に「山の日」推進

 「山岳県信州としてはうれしい。議連と一緒に取り組ませてほしい」。阿部知事は10日、議連発足を評価した。一方で、2月県会で表明した県独自の「山の日」制定は進める考えで、この日も取材に「暮らしに溶け込み、美しい景観をもたらし、自然環境保全の象徴でもある信州の山。大切にしていくためには独白に必要だ」と説明した。

 「日本の屋根」と呼ばれるほどの山岳県でありながら、県には独自の「山の日」がない。県森林政策課のまとめでは全国の26府県には「山の日」や類似した日を既に定め、さまざまなイベントやPR活動を展開している。

 知事はこれまで重ねて国側に全国的な「山の日」制定を要請してきた。だが、「長野県内が盛り上がらなければ、

全国でも盛り上がるわけがない」。国側と接触を重ね、知事は祝日の「山の日」早期制定は難しいとの見方に傾いた上、県独自の「山の日」がないと、国側への働き掛けも説得力に欠けるとの判断に至ったようだ。

 県は、調査中の県民アンケートで独自の「山の日」制定に向けた県民意識や課題などを探り、5月中にもまとめる。その後、山岳、林業、観光関係者や有識者らによる検討組織を発足させ、具体的に「山の日」の位置付けや日付などについて議論していく。

山岳関係者ら歓迎と注文

 「祝日化に向けて運動を広げるべきだ」。県内関係者からは、議連発足への歓迎が目立つ一方、設定時期や具体化し始めた県の独自制定の動きとの兼ね合いに気をもむ声も。県には、他県や関係団体などとの連携を図るとともに、県内の多様な意見を調整する役割が求められそうだ。

 「制定に向け国や県の動きがあり、独自に決めている地域もある。どう調整するかが課題だ」。中央、南の二つのアルプスに挟まれた伊那市の白鳥孝市長は制定の動きに賛同しつつ、こう指摘。松本市の坪田明男副市長は「全国統一の山の日制定を大前提にしてほしい」とし、県の独自制定の動きに疑問を投げ掛けた。全国各地で既に「山の日」が設けられている中、日本を代表する山岳県の信州も国と異なる日程で独自に制定すれば、「山の日」の意義や発信力が低下しかねないとの懸念があるからだ。

 日本山岳協会など山岳関係5団体などでつくる協議会は昨秋、6月第1日曜日を山の日にすることを提案。北アルプス・涸沢ヒュッテの山口孝社長は「北アは残雪が多く早すぎる」とし、「県の山の日は8月ごろで全国と2通りあってもいい」と話す。2011年、県内で初めて山の日を毎年5月第3土曜日に制定した北安曇郡松川村の平林明人村長は、山に親しみやすい時期や気候は地域ごとに異なるとし「いつにするかは県民の意見を調べて決めた方がいい」と助言した。

写真:北アルプス上高地で開山祭を見守る大勢の人たち(昨年4月)。「山の日」制定に向け機運は高まるか