紅旗峰登頂県内の登山隊帰国

一ようやく終わった一

思いを語る

信濃毎日新聞 掲載

平成18年11月24日(金)


 中国・ネパール国境にあるヒマラヤの紅旗峰(七、〇一一b)に今月一日、未踏の中国・チベット自治区側から登頂した県内五人の登山隊が、このほど帰国した。偵察から六年、二度目の挑戦で悲願を達成した隊員たちは、喜びや登山活動の厳しさ、この山にかけた恩いをあらためてかみしめている。

 隊長を務めた中島俊弥さん(41)=塩尻市=は、頂上直下で断念した二〇〇三年に続く参加。最終キャンプ(六、五五〇b)へのルート上のセラック(氷塔)は前回より崩壊の危険が高まっていて、天候も安定しなかったという。

 十月三十一日、副隊長の百瀬尚幸さん(60)=東筑摩波田町=と二人で山頂を目指したが、天候が悪化。あと三百bで引き返した。体力の消耗は激しかったが、「一気にやらないと機会を逸する」と翌日もアタックを敢行。悪天の中、前日開いたルートをたどり、最後は最大斜度60度ほどの雪壁をよじ登った。

 最終キャンプから七時間半かけてたどり着いた山頂。中島さんは、そこまで使ってきたアイスバイル(ピッケルに似た氷専用の登山用具)と、二枚のお札を雪に埋めた。

 お札には、ともに紅旗峰登山への参加を希望し、国内の山で訓練中に遭難した二人の名前があった。アイスバイルは、うち一人の遺品。中島さんは「長かった。ようやく終わったという気持ちだった」と振り返る。

 紅旗峰は、世界最高峰エベレスト(八、八五〇b)の約十七気`西北西にある。チベット側から挑んだのは長野県の隊だけだ。総指揮を執った中村正勝さん(62)=長野市=は「自分たちが目にした世界でも知られていない景色を、多くの人に伝えたい」と話している。

写真:紅旗峰の頂上直下の雪壁を登ってくる百瀬尚幸さん(中島俊弥さん撮影)