岳沢ヒュッテ経営者事故死

上高地のヘリポートで

信濃毎日新聞 掲載

平成18年4月18日(火)


 十七日午前十時二十五分ごろ、松本市安曇の上高地にあるヘリポート(玄文沢場外離着陸場)で、北アルプス・岳沢ヒュッテを経営する同市安曇、上条岳人さん(69)=写真=が同市石芝、会社員高橋淳一さん(29)の3d保冷車にひかれた。上条さんは民間ヘリと救急車で同市内の病院に運ばれたが、約一時間半後に出血性ショックで死亡した。

 松本署の調べによると、高橋さんは、北アの別の山小屋へ空輸する荷物をヘリポートまで保冷車で運んでいた。上条さんは、積み荷を降ろしてバックしていた保冷車の後方にいた。同署が原因を調べている。

 上条さんは開業51年目の同ヒュッテの2代目経営者で、一一九九六年四月から北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会の救助隊長。'昨年三月まで、北ア南部の山小屋経営者でつくる「北アルプス山小屋友好会」の会長も務めた。

 同ヒュッテは前穂高岳や奥穂高岳と上高地を結ぷ登山ルート上にある。今季は残雪が多く、小屋が被害を受けて利用できない可能性があるため、四月下旬の予定だった小屋開けを五月の大型連休後に延期していた。山小屋関係者によると、上条さんはこの日、同ヒュッテが使えないことを登山者に伝える看板を置くため上高地に入ったようだといいう。