高遠-長谷の風力発電計画

山岳会など中止要望へ

環境や景観著しく壊す

信濃毎日新聞 掲載

平成17年12月13日(火)


 大手商社丸紅(東京)と子会社の三峰川電力(長谷村)が、高遠町の入笠山から長谷村の鹿嶺(かれい)高原で検討している風力発電事業について、上伊那地方の山岳会など五団体は十六日にも、「自然環境と景観を著しく壊す」として事業の中止を求める要望書を両社に提出する。県と上伊那の市町村長にも要望書を提出し、行政による中止指導を求める。

 要望書を提出するのは、伊那市の「伊那山仲間」と「伊那山の会」、駒ケ根市の「駒峰山岳会」と「駒ケ根山岳会」、自然保護団体や山岳会関係者でつくる「中央アルプスの自然を愛する会」。要望書案では、「南アルプスや伊那谷など、世界に誇る自然景観を損なう」と指摘。内陸の山岳地帯での事業化は全国的に例がなく、上伊那で事業が実現すれば「他地域も追随する恐れがある」としている。

 伊那山仲間副会長の北原功さん=伊那市東春近=は「山の景色を楽しみに伊那谷を訪れる観光客がたくさんいる。構想を市民に説明することも会社に求めたい」と話している。

 三峰川電力によると、長さ約十一キロの尾根に高さ約百bの風車を最大三十基設ける予定だ。

高遠町では計画業者招き勉強会

 生活協同組合コープながのの上伊那地方の組合員で環境に関心がある有志六人でつくる「環境ウオッチャーズ」は十一日、丸紅と子会社の三峰川電力が計画している風力発電事業の勉強会を高遠町総合福祉センター「やますそ」で開いた。約四十人が参加し、事業計画などについて三峰川電力から説明を聞いた。

 両社は十一月末までの一年間、高遠町の入笠山で風の状況を調べた。三峰川電力の大西英一副所長は、風力発電には一般的に毎秒六・五-七bの風が必要とされるとし、調査結果は「多少及ばないが、近い数字は出ている」と説明。
「環境や希少動物への影響なども十分に検討し、地元との合意形成も図りたい」と述べた。

 青森県で市民出資の風力発電事業に携わっている産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の丸山康司研究員の講演もあった。風力発電について丸山研究員は、二酸化炭素(C02)削減など地球温暖化防止に貢献する半面、生態系への影響などが懸念されるとし、「建設時、創業開始時、十年後など、長期的な見通しを立てるべきだ」と述べた。

「住民合意必要」 伊那市長が答弁

 伊那市の小坂樫男市長は十二日の市議会一般質問で、丸紅と子会社の三峰川電力が検討している風力発電について「(建設予定地の)高遠町、長谷村だけの問題でない」と、新「伊那市」全体の間題-との認識を示した上で、「住民の合意が必要だ」と指摘した。

 市長は、計画への賛否には明言しなかったものの、鳥獣保護の観点や観光誘致の可能性など、利点と欠点を含めて地元として総合的に判断する必要性を指摘。「特に現伊那市から見た景観に配慮しなければならない」と強調し、会社側が現伊那市の住民にも説明会を開くのは当然とした。

写真:三峰川電力の大西英一副所艮から風力発電についての脱明を聞く参加者